アイドル楽曲はやたらと多様になった。~今後のアイドル界を音楽性の観点から考える~
ひと口に「アイドル」といっても、様々なアイドルがいます。
今、お茶の間で人気なアイドルといえば、やはり乃木坂46や欅坂46などの「坂道グループ」でしょう。2017年、2018年と2年連続でレコード大賞を受賞した乃木坂46、デビューから3年連続紅白出場している欅坂46、さらには「ひらがなけやき」ことけやき坂46の台頭も目覚ましい。
一方で、ベイビーレイズJAPAN、PASSPO☆、ベボガ等の中堅アイドルが次々に解散し、「アイドル戦国時代の終焉」とも言われた2018年ですが、今後のアイドル界はどうなっていくのでしょうか。
- アイドルの音楽性はここ最近多様になった
- BABYMETAL
- アップアップガールズ
- おやすみホログラム
- raymay
- Broken By The Scream
- PassCode
- Maison book girl
- CY8ER(BPM15Q)
- 今後のアイドル界はどうなるのか
今回は、アイドル界の今後を(自称)バンドマンらしく楽曲の音楽性という面で考えていきます。
というのも、自分はアイドルのライブや握手会には行けず(まあド地方なのもあるしね)、TVや楽曲、動画配信などを中心に楽しんでいるため、アイドル文化にあまり詳しくないのです。
アイドルの音楽性はここ最近多様になった
2010年ごろから、AKB48やももいろクローバー等のアイドルグループが台頭し、以降様々なアイドルが乱立して勢力を競い、「アイドル戦国時代」が到来したといわれています。
しかし前述のとおり2018年はそのアイドル戦国時代を支えた中堅グループが相次いで解散しました。
一方でまだまだアイドル界は競争率が激しく、新しいグループが浮かんでは消え、を繰り返しています。
そんな中、他のアイドルとの差別化を図るため、さまざまなジャンルで楽曲に注力するアイドルグループを今回は紹介し、今後のアイドル界を考えていきたいと思います。
BABYMETAL
メタル×アイドルとしてアイドル界はもちろんメタル界に革命を起こしたといっても過言ではないBABYMETAL。
これはYUI-METAL脱退前の楽曲ですが、SU-METALのずば抜けた歌唱力と、脇を固める2人のパフォーマンスは、やはり他のアイドルと一線を画していると思います。また、日本メタル界の大御所たちを集めた通称「KAMIバンド」のバカテク演奏も見所です。
楽曲は主に1980年代以降のハードロック・へヴィメタルを想起させる曲が多いですが、この曲のように2010年代のメタルコア的なタイトな刻みの曲もあります。
アップアップガールズ
アップアップガールズは、ハロプロエッグの研修過程を解雇され2011年に結成されたグループです。
曲はアップテンポでEDMやクラブミュージックの要素を取り入れており、全体的にピコピコしたポップスという印象です。
おやすみホログラム
【MV】おやすみホログラム「ghost rider」 / OYASUMI HOLOGRAM [ghost rider]
このグループも打ち込みのピコピコしたサウンドが特徴的ですが、アプガとは違い曲調はロックです。ひとことでいうと「荒削りさ」を「研ぎ澄ました」ような曲が特徴だと思います。ライブ映像もネットに上がっているのですが、バンド構成だし、かなりロックバンドに寄せたライブ感になっていました。
raymay
このグループは2018年12月末にデビューしたばかりのグループで、正直ほぼこのPVのみの情報になりますが、海外では初期のリンキン・パークやリンプ・ビズキット、国内でいえばRIZEなどに代表されるミクスチャーといわれる音楽をしている珍しいアイドルグループです。へヴィなバンドサウンドとスクラッチの音、ラップは非常に相性が良く、テンポ感もしっかり落とす所あり、そしてサビはキャッチー、一部ではレゲエのようなリズムも取り入れ、この界隈の音楽を聴いて育った僕からみてもかなりクオリティが高いです。このグループは個人的にも要注目ですね。
Broken By The Scream
Broken By The Scream - サヨナラバースデー -
バンドサウンドに乗せてクリーンで歌うアイドルは多いですが、このグループは実際に本人たちがシャウトをしています。この曲はDjentといわれるジャンルに寄った曲ですが、デスコア、メタルコア等の要素も強く、ライブでも他のデスコアやメタルコアの強面バンドと共に第一線で活躍しているといっても過言ではないです。ライブでもなかなか迫力のあるスクリームをしており、このジャンルが好きならアイドル好きでなくともライブに足を運ぶべきグループです。
PassCode
このグループも数少ないデスボイス、シャウトといった発声法を使うアイドルです。以前も随所にシャウトを使い、電子音とへヴィなサウンドを織り交ぜた、いわゆる「ピコリーモ」といわれるジャンルでしたが、去年発表したこの曲ではかなり重たいサウンドに振り切り、バンドサウンドもより凶悪になりました。一方このグループはバラードも良曲が多く、そういった振れ幅の大きさやギャップにも魅力があります。
Maison book girl
Maison book girl / レインコートと首の無い鳥 / MV
このグループの楽曲は、変拍子や民族楽器のような音を多用し、とても不思議な雰囲気を出す楽曲が多いです。また、ファッションも独特で、BALMUNGというファッションブランドが手掛けるハイセンスな衣装にも注目です。
CY8ER(BPM15Q)
このグループは元BiSの苺りなはむとDJのにかもきゅによるユニット、BPM15Qが前身となり生まれたグループです。EDMの要素を取り入れたグループはたくさんいるのですが、このグループに関してはそのジャンルへの振り切り方が頭一つ抜けていると感じます。EDMやダブステップのサウンドを基調としていますが、和風な音やダンスも織り交ぜているので、楽曲としてはかなり攻めた印象ですが面白いグループだと思います。
今後のアイドル界はどうなるのか
どうでしたでしょうか。様々なジャンルのアイドルグループを紹介しましたが、気に入ったグループはありましたか?
戦国時代を終えたとはいえ、依然群雄割拠の時代を生きるアイドル達、またその運営も、どのようにして生き残っていくかを模索した結果、現在のようにジャンルの多様性が出てきたのは自然な流れのように思いました。
BBTSやraymayのように、バンドシーンで見てもかなりクオリティの高いサウンドの楽曲も多く、非常に楽しみなのですが、いかんせんデスコアやミクスチャーといった世間は一般から見るとアンダーグラウンドなジャンル、彼女らが表に出てくることは考えづらいと思います。
また、ライブをバンド編成で行うとなると、ライブ出演にかなりのお金がかかってきます。遠征ともなればなおさら。
楽曲は文句なしにいいのですから、僕としてはどうにかこうにか元気に活動を続けていってほしいものです。
一方地上を客観的に見ると、言わずもがな坂道グループの天下は少なくともあと2年ほどは続くでしょう。今の乃木坂46の1期生がほぼいなくなっているであろう3年後、どのグループが取って代わるのか楽しみではあります。
※追記 坂道G合同オーディションによる新人メンバーが各グループで活躍しています。「ひらがなけやき」から改名した「日向坂46」も勢いが凄まじく、3年程度では坂道Gの天下は揺るがないかもしれません。(2019/06/03)
そのとき、今よりもビジュアルだけでなく楽曲にも注目が集まるのは十分に考えられます。多様化したアイドルの形、それが何年かの時を経てアイドル文化としてもうひとつ高次元のものになっている未来を想像するのも、無理なことではないかもしれませんね。